ロゴ
BRAINテクノニュース
第70号

 November 15, 1998


No.70

  総 説

  国内情報

  地域の先端研究

  文献情報

  海外便り





総 説
 トレハロースの特性とその利用
斉藤 典行 (株)林原生物化学研究所・開発センター
  トレハロースは1832年にWiggersにより麦角中に初めて見いだされ、1959年Berthelotによりペルシャ地方に生息する象鼻虫であるトレハラマンナから分離されたことから、トレハロースと命名された。近年、このトレハロースが澱粉を原料に2種類の酵素を作用させることにより効率よく安価に大量生産されるようになったことから、様々な利用特性が明らかにされつつある。
 
国内情報
ゼブラフィッシュの遺伝子組み換え技術
 山下 倫明 水産庁 中央水産研究所
  小型の熱帯魚の一種、ゼブラフィッシュを実験材料として遺伝子機能を解析する研究手法が可能となってきた。ゼブラフィッシュへの遺伝子組み換え技術に関する最近の研究動向を解説する。ストレス応答性HSP遺伝子を導入することによって、環境水の水温、化学物質などのストレスに伴って外来遺伝子を発現させる遺伝子発現系の開発に成功した。
ダイズタンパクを含有するイネ「マメヒカリ」の開発と展開
 内海 成・*高岩 文雄 京都大学食糧科学研究所・
*農林水産省 農業生物資源研究所
  ダイズタンパク質をコメに集積させることにより、人の血清コレステロール値低下機能および食品加工特性が付加され、栄養性が改善された「マメヒカリ」を開発することを試みている。実用品種化の暁には、「マメヒカリ」を毎日主食として食することにより、コレステロールの心配をする必要がなくなるとともにバランスのとれたタンパク質を摂取できる。しかも、長期貯蔵により食味が低下すれば、加工食品の製造に利用でき、一石三鳥の効果が得られる。
納豆の糸から納豆樹脂の開発とその利用
 原 敏夫 九州大学農学部附属遺伝子資源開発研究センター
  納豆の糸に放射線(コバルト60、ガンマ線)を照射して生成する納豆樹脂。水を吸収し、膨潤した透明なハイドロゲル。保水能力は抜群。納豆のネバネバたった1グラムで5gの水が蓄えられる。市販の紙オムツや生理用品の5倍の吸水力。ガンマ線照射量と納豆の糸の濃度の組合わせでいろいろな性状を持つ納豆樹脂が得られる。放射線照射で適度の橋架けを受け、納豆の糸の間で三次元構造を取り、できたすき間に水分子が閉じ込められて吸水力が生じる。
海洋深層水の資源的特性とその利用技術の研究
 豊田 孝義 海洋科学技術センター
  海洋の深層水は、富栄養・低温・清浄という利用価値の高い特性を有しているため、新しい資源として認識され始めている。この深層水を利用する技術の研究を行うために、深度320mの深層水を陸上に汲み上げて種々の実験を行う施設が整備された。この施設において、深層水を水産、有用物質生産といった生物生産分野や、冷房、淡水製造といったエネルギー回収分野に利用する実験が行われ、これらの分野での深層水の有効性が実証された。これらについて紹介する。
 
地域の先端研究
わさびから単離した新抗菌性タンパク質遺伝子とその利用
 西原 昌宏・山村 三郎
財団法人岩手生物工学研究センター
  植物には抗菌活性物質が存在することが古くから知られており、カビ、バクテリアなどの病原菌に対する防御機構の一端を担っていると考えられる。チオニンは抗菌活性を有する低分子量タンパク質であり、その生理学的特性は古くから解析されつつある。我々はわさびからγ-チオニンと呼ばれる新しいタイプの抗菌性タンパク質遺伝子を単離した。ここでは、わさび遺伝子の抗菌タンパク質としての利用の可能性についてこれまで知られているチオニン遺伝子と比較しながら考察を述べたい。
 
文献情報
高濃度の炭酸ガスと水分欠乏がイネの光合成に与える影響
  Elevated CO2 and water deficit effects on photosynthesis, ribulose bisphosphate caraboxylase-oxygenase, and carbohydrate metabolism in rice.
Joseph C.V.Vu, et al., Physiologia Plantarum, 103: 327-339 (1998)
ACC合成酵素遺伝子が2種類の転写物を生成する
  A gene encoding 1-aminocyclopropane-1-carboxylate (ACC) synthase produces two transcripts: elucidation of a conserved response.
Peck, S.C., et al., Plant J., 14: 573-581 (1998)
人類への警鐘
  Identification of Estrogenic Chemicals in STW Effluent. 2.In Vivo Responses in Trout and Roach
Environmental Science & Technology, 32(11): 1559-1565 (1998)
 
海外便り
線虫Caenorhabditis elegansの逆遺伝学的解析
---オランダ・ネザーランド癌研究所での1年間---
 加藤 祐輔 農林水産省 蚕糸・昆虫農業技術研究所
  
[項 目]
1.はじめに 2.プラスターク研究室
3.全3量体型Gタンパク質の逆遺伝学的解析プロジェクト 4.C.elegansの逆遺伝学的解析の現状とこれから
5.雑感
 
 
特別情報
イネ・ゲノムの全貌解明と有用遺伝子の単離・特許化
---農林水産省第2期イネ・ゲノム研究の紹介---
 農林水産省 農林水産技術会議事務局
 大杉 立
  農林水産省では、これまでの第1期イネ・ゲノム研究の成果を受けて、平成10年度より10年計画で第2期イネ・ゲノム研究を実施する。本研究は、イネ・ゲノムの全塩基配列の解読(コア研究)、遺伝子の機能解明・単離(サテライト研究)及びDNAマーカーを用いた効率的選抜技術の開発(ネットワーク研究)からなり、イネ・ゲノムの全貌を明らかにするとともに、得られる有用遺伝子等の積極的な特許化を図り、産業化に繋げることを目指す。
  
[項 目]
1.はじめに 2.研究の内容
3.オールジャパン態勢による研究推進

前
以前


テクノニュースHome Page